こんにちは。
昨日読んだいくえみさんの新作「1日2回」1巻の感想文です。
あらすじ
主人公 園田れみ39歳、14歳の娘と母と実家で3人暮らし。
ある日、隣の家に婿養子に出た幼馴染の鍵谷季(とき)が出戻ってくる。
明るくさっぱりした性格の主人公と陽気だけど寂しがり屋で昔は泣き虫だった幼馴染。
2人の穏やかな交流が再び始まり、交差するように2人の学生時代の回想を挟みながら物語が進んでいきます。
「幼馴染」という微妙な距離感
少女漫画でも鉄板な「幼馴染」という設定ですが、2人には恋愛的な関係がなく、お互いに結婚を経験して40近くなってから話が始まる、というところが面白いなと思います。
割と序盤から出戻った季がれみの家に違和感なく馴染んでいる様子も不思議な距離感で、こういうあいまいな、家族のような関係性はいくえみさんのお話でわりと出てくるんですが、やっぱり好きです。
ここが好きです、いくえみ作品
この漫画はほぼ作者買いです。
いくえみさんの作品は全部読んでいるわけではないんですが、「プリンシパル」「G線上のあなたとわたし」「太陽が見ている(かもしれないから)」を読んできてどれもお気に入りだったので、裏表紙のあらすじを読んで絶対面白いなと思ったので即買いしました。
いくえみさんはキラキラというよりは、柔らかくてあいまいで時々ひやっとするような少女漫画を描く方だなという印象です。
モノローグや間の取り方が独特で、画面の空気から気持ちを表現するような隠喩的な感じです。それがなんともリアルで魅力的。
誰もが一度は経験するようなのあいまいな感情とか感覚とか、うまく言葉にできないものを表すのが上手な方だと思います。
あと主人公以外の感情が読みにくいのも、面白いです。
特に物語上重要な事件が起きた時、ほとんどヒロインの目線のみで進行するので、相手の気持ちについてはヒロインの受け取り方や想像でしかない。見える部分からしかわからない。
元々情報量の少ない表現をしているので、台詞や言葉少ない場面での空気や表情への凝縮度がすごい。凄くあいまいな雰囲気を出してくる。
だからいくえみさんの描く相手役は読んでいる方からすると実際の対人関係のように、何を考えているのかとかよく分からない部分があります。
そういうところが好きです。